乳がんサバイバーの便失禁

乳がんのアロマターゼ阻害薬と便失禁

アロマターゼ阻害薬(AI)療法が便失禁などの骨盤底不全と性的機能低下に与える影響についてはほとんど知られていません。これについては、現在1つだけの研究があります。乳がん診断後12か月以内に募集されたオーストラリアの女性の前向きで観察的な地域ベースのコホート研究で、初期の5年間の研究フォローアップを完了した1,305人の女性のうち、1,053人が再連絡を受けることに同意し、診断後10年後も生存していた992人の女性に研究のアンケートが送信されました。主要なアウトカム尺度は、Female Sexual Function Index(FSFI)の欲求ドメインで5.0未満のスコアと、Female Sexual Distress Scale-Revised(FSDS-R)で少なくとも11.0のスコアを持つことによって判定されたHSDDでした。尿失禁、大便失禁、骨盤臓器の脱出など、骨盤底の障害に関しては、検証済みの質問紙を使用して評価されました。低い欲求、個人的な苦痛、およびHSDDと関連する要因を評価するために、多変量ロジスティック回帰が使用されました。

 

乳がんのアロマターゼ阻害薬は便失禁が多い

結果: 625枚の記入済みアンケートが返送されました。回答者の中央値年齢は65.1歳(範囲= 36.4-95.5)でした。現在、AIを使用していると報告したのは10%で、タモキシフェン使用は3.4%でした。FSFI欲求ドメインを完了した608人中521人(85.7%;95%CI = 82.9-88.5)が性的欲求が低く、FSDS-Rを完了した563人中246人(43.7%;95%CI = 39.6-47.8%)が性に関連する個人的な苦痛を持っていました。2つの質問紙を完了した559人中221人(39.5%;95%CI = 35.5-43.6%)がHSDDを持っていました。現在、AIを使用している人々は非使用者よりもHSDDを持つ可能性が高かった(55.2%[95%CI = 42.2-68.1] vs 37.8%[95%CI = 33.5-42.0]; P = .01)。性的に活発な現在のAI使用者(66.7%;95%CI = 49.4-83.9)は、現在の非使用者(43.6%;95%CI = 37.0-50.2; P = .02)よりもHSDDがより一般的でした。ロジスティック回帰モデルでは、HSDDは現在のAI使用と逆の関連があり、年齢と関連がありました。また、AI使用者では非使用者と比較して、大便失禁がより一般的でした(29.8%[95%CI = 17.8-41.8] vs 16.4%[95%CI = 13.2-19.6], respectively; P = .01)。

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