コンセプト

日帰り手術を目的としたクリニック

よこすか女性泌尿器科クリニックが、日帰り手術で骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁を治していること、そして、その膨大な治療件数に驚かれたことでしょう。この日帰り専門で治療する方法は、米国では当たり前で、当院のように治療したその日に家事や育児ができます。日帰り手術をするということは、手術をするクリニック側に十分な準備が必要です。人材の確保、エキスパートチームの教育、何度もレッスンをしてミスなく本番に臨むこと。当然のことながら、毎日の訓練が生かされています。手術は、メッシュを使わない手術です。従来法とか、基本手術とか、最近ではメッシュに対抗してナチュラル手術という言い方をするドクターもいます。日帰り手術は、(1)豊富な経験(ナラティブ・メディスン)、(2)科学的な根拠(エビデンス・メディスン)、この2つが必要です。

 

日本にメッシュが導入された頃、私たちはメッシュなしの手術に取り組んだ

2000年にフランスの女性泌尿器科手術研究グループからメッシュをもちいた手術についての検討がされTVM手術が始まったといわれます。2005年ごろから日本に導入され、またたくまに日本中に広まりました。このとき、私達はアメリカのハーバード大へ留学していました。そこで、アメリカ式のスタンダードな治療方法を学びました。それは、メッシュをもちいない方法です。帰国後、日本全体に広がったメッシュ手術というもを、私達の視点でとらえてきました。

 

全身のことを考えたら、メッシュは使わない

2013年、私達は人工物のメッシュをたくさん使うことで感染症のリスクがあることを学会発表しました。そして、早々にメッシュを使わないと決めたのです。そこで、注目したのが性ホルモンです。もし、術前から丁寧に運動をして、体を見つめなおし、性ホルモンを改善したら、メッシュなしで必要十分になおすことができるはずです。私たちの性ホルモンの研究は多くの学会で賞をうけました。

 

バラク・オバマ元大統領の言葉をどうとらえるか?

2015年米国オバマ大統領が一般教書演説ではじめてPrecision Medicine(プレシジョン・メディシン)という言葉を使いました。これは、データ優先ではなくて、その患者さん患者さん個人の、遺伝子情報、生活環境、ライフスタイルの違いを考慮して治療をおこなうというものです。まさに、ナラティブ・メディスンエビデンス・メディスンを合わせることを彼は主張しているのです。オバマ元大統領から医学界への大きな警告でした。

 

アメリカ医学雑誌に出された論文がメッシュを否定した!

2013年にJAMAという医学雑誌にて、2002年から2005年にかけての米国内223人の比較試験をシカゴにあるユタ大学Nygaard教授が発表しました。メッシュ手術を腹式(お腹をきって手術すること)でおこない骨盤臓器脱の手術をおこなっても、時間とともに再発し、7年もたつと34から48%の再発がみとめらるというものです。さらには、7年後のメッシュびらんは、10.5%であるとされています。この論文を、ワシントンにあるジョージタウン大学Iglesia教授は『臨床的に重要なことで、腹式のメッシュ手術が、標準手術に位置付けるのは疑問』としています。2019年、イギリスにつづきアメリカで人工メッシュの販売禁止がでました。オバマ元大統領の警告は、女性泌尿器科の分野でもあたってしまったのです。

 

2014年から増えるメッシュ摘出・骨盤臓器脱手術


(2017年 泌尿器抗加齢医学研究会にて、日本に初めて紹介されたレーザー尿失禁治療)

膀胱に対するメッシュによる補強手術は、メッシュが術後に傷口から出てきたり、メッシュが外れて膀胱が再びおちてくるケースがふえています。2013年には、日本女性骨盤底医学会にメッシュの感染症の報告をしました。今は、摘出可能であれば、メッシュを摘出の上に、今度はメッシュを使わない修復をしています。2014年からは手術枠を増やし対応しています。
メッシュのない基本手術をサポートする治療を探しました。これが、レーザー尿失禁治療をすすめる後押しになりました。2017年には泌尿器抗加齢医学研究会にてはじめてレーザー治療を公開しました。この日をさかいに、日本の新しいスタンダードになりました。

 

私たちのワールドジャーナル論文に発表した医学根拠は、メッシュなし手術を後押し

当院は、その治療の根拠として世界的な論文を複数有しております。これは、メッシュ手術が大問題を引き起こした今、期待される成果となっております。自信をもってメッシュなしのナチュラル手術をお勧めできます。

例えば、尿失禁治療では妊娠希望者には人工テープTVTとTOTは感染源になるので禁忌。心臓がわるくて血液サラサラ薬を飲んでいる人も手術できません。代わりの治療はいままで存在しませんでした。さらには、TVTやTOTで病状が悪化する人も。このような場合、EU・台湾・カナダで承認された尿失禁レーザー治療こそが出番です。

このグラフは、国際泌尿器科学会(SIU)ワールドジャーナル・ウロロジー誌にハイライト論文として採用されている我々の研究成果です。国際泌尿器科学会がツイッターでハイライト告知をしました。

 

メッシュなし手術。ヨーロッパ全体は真剣に取り組んでいる

わたしたちと全く同じ志の人というのは、いるものです。いま、ヨーロッパでは、メッシュなしの手術について取り組んでいます。副作用に関しては、メッシュより断然よいのは明らか。あとは、再発をすくなくするために、レーザーを応用することです。フィレンツエの会議で徹底的に話し合いました。

まず、世界に先駆けてメッシュに頼らない手術の啓発活動がはじまったのは、イタリアです。カトリック大学教授のゼルヴィイーニ医師や、ピサ大学教授のガンバッチャーニ教授は、レーザーを応用することで、この手術の成功率を高めたいと考えました。つづいて、クロアチアの首都のザブレグ大学のフィストニック教授も挑戦をしました。なかでも、スロベニアの産婦人科医のオグニック医師とセンカー医師の女性二人組は、これ以上世界の女性に人工物を入れたくないという熱意からレーザーだけで、骨盤臓器脱が改善しないかどうか挑戦をしました。

つづいて、ドイツでは、当院の論文とりあげて勉強会がはじまっています。とりあげたのは、ドイツ泌尿器科学会誌と、ドイツ産婦人科学会誌の2つ。まさに、女性泌尿器科の2大柱がこの論文をとりあげました。かってメッシュを最初に大規模調査をして世界を席巻したフランスは、2020年にエリマ医師が当院の論文を図表入りで紹介をしました。ここから、多くのフランス人医師に論文が紹介されるでしょう。その後、トルコ、イタリア、チェコ、ベルギー、英国と、ヨーロッパの各国が、私たちの論文を取りあげ、メッシュなしで骨盤臓器脱・尿失禁を治すことを研究しているのです。

 

日本では、毎日新聞の連載が最初

毎日新聞の連載にメッシュの警告を書いたときは、まだ日本ではメッシュの全盛期でした。イギリスの英断を見て、私たちは動くべきだと自分たちの手術を見直し、そして新聞発表に至りました。お付き合いしてくれた当時の毎日新聞の編集長に感謝しています。

① 『骨盤臓器脱の最適な治療法』 骨盤臓器脱の治療は筋膜を修復することにつきます。あまりに骨盤底の損傷が強いときはメッシュをもちいますが、現在イギリスやアメリカでメッシュは問題になっています。十分理解して選ばれるべきでしょう。イギリスBBCのまとめもご覧ください。
② 『腹圧性尿失禁と尿道瘤の解説』 腹圧性尿失禁のメカニズムを知りたい方むけです
③ 『見直されるペッサリー』 メッシュ手術のリスクが明らかとなった今、ハーバード大学ではペッサリーをいれたまま骨盤底筋体操をして、その間に適切な手術をさがすようになりました。
④ 『腹圧性尿失禁の新しい治療』 メッシュ手術で死亡例が出たことを明らかにしたコロンビア大学の論文と、レーザーによる新しい治療について紹介しました。追加資料としては、英国医学雑誌に取り上げられたオックスフォード大学によるメッシュの教訓というの論文
⑤  『過活動膀胱』 過活動膀胱について投薬や手術などをまとめました。体の中に抗コリン薬を蓄積させないように投薬を最低限に利用することが大切です。

 

 

 

(次ページでは、ビックデータを診療に応用することについて解説します)

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