乳がん経験者(乳がんサバイバー)のGSM・骨盤臓器脱

乳がん経験者(乳がんサバイバー)はGSMや骨盤臓器脱が知られています

乳がんになりますと手術以外にも、抗がん剤やホルモン治療を行います。この治療は、骨髄の細胞の活性化が落ちたり、女性ホルモンの枯渇を招きますので、骨盤内臓の血流や性器の血流が極端に減ります。このため、GSM(閉経関連性器泌尿器症候群)や骨盤臓器脱になりやすいです。このことは、海外の乳がんのガイドラインには、骨粗鬆症のリスクと並びしっかり書かれています。
しかしながら、日本国内では専門家が少ないのが実情です。

乳がん治療の抗がん剤は、なぜ、骨盤底を弱くするのか?

一般に、抗がん剤は骨髄の中の幹細胞の力を弱くします。このため、性ホルモンの製造能力が落ちるほか、骨盤底筋を構成している筋肉の修復材料を提供しなくなります。もちろん、乳がんのホルモン治療をすれば、女性ホルモンが枯渇するので、骨盤底の筋肉は修復しなくなります。したがって、骨盤底の筋力の低下を招きます。

乳がんサバイバーの骨盤臓器脱手術のポイントは?

乳がんの治療の後遺症で弱くなったために、支えきれずに膀胱や子宮が落ちてくる病態です。厄介なのが、子宮筋腫などの理由で子宮を摘出しているケースです。修復すべき骨盤底の一部が切り取られています。

そこで、乳がんサバイバーの骨盤臓器脱は、弱い筋肉をいかに寄せて体重を支えることができるようにするかということになります。現時点では、多くのドクターが人工メッシュを使えば良いと提案するかもしれません。しかし、重要なのですが、乳がんサバイバーにおいて、人工メッシュが安全というデータは存在しません。逆に、乳がんサバイバーの方が人工メッシュに感染などのトラブルを起こしやすいというデータもありません。(データがないから、安全とは言えません)

当院での提案は、残された筋肉を寄せて形を作り、足りない部分は生体組織(お腹の脂肪とか筋膜)で補いという方法です。

乳がんサバイバーのGSMについてはデータが出ている。

乳がんサバイバーは、性器や泌尿器が委縮することも知られています。これをGSM(閉経関連性器泌尿器症候群)やVVA(萎縮性膣炎)、尿道狭窄といます。これらに関しては、治療法に関するデータが十分出ています。その治療法は、レーザー治療です。

萎縮した部分へレーザーを照射することで、細胞が再生をしようとします。その現象を利用して、萎縮した部分に厚みを取り戻させるのです。

乳がんサバイバーに対する膣のレーザー治療は、世界中で研究されています。当院は膣だけでなく、陰唇も含めて全体にレーザー照射が望ましいとデータを出しました。大変広範囲にレーザーを当てることになるので、できるだけ弱いレーザーで、時間をかけて照射します。

 

 

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