「間質性膀胱炎/膀胱痛症候群(IC/BPS)」に関するネット情報は信頼できる?――最新論文からわかること
✔ ネット上の医療情報はどれくらい正確でわかりやすいの?
インターネットで「間質性膀胱炎」や「膀胱痛症候群(IC/BPS)」の治療法について検索したことはありますか?
病気のつらさや不安を抱えていると、「何か新しい治療法はないか」「他の人はどうしているのか」と気になって、検索する方も多いと思います。
しかし、ネット上にある医療情報はすべてが正しいとは限りません。
そこでアメリカの泌尿器科専門医らが、**ネット情報の「正確さ」「信頼性(質)」「読みやすさ」**を詳しく調べた研究結果が、2025年7月に発表されました。
🔍 研究の内容
研究チームは、以下のように調査を行いました:
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GoogleとBingで「interstitial cystitis treatment(間質性膀胱炎の治療)」と検索
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検索結果の上位20件ずつ、計40サイトから重複を除き25サイトを選定
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泌尿器科専門医がそれぞれのサイトの情報をチェック
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✔ 正確さ:1〜5点で評価(5点が最も正確)
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✔ 質の評価:医療情報評価ツール「DISCERN」で点数化
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✔ 読みやすさ:文章の難しさを測定(Flesch-Kincaid法など)
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🧾 結果:正確だが、読みにくい!
| 評価項目 | 結果 |
|---|---|
| ✅ 正確さ | 高い(中央値 4点/5点満点) |
| 🔶 情報の質 | やや不十分(中央値 42点/75点満点) |
| ⚠ 読みやすさ | 非常に難しい(高校~大学レベル) |
特に重要なのが「読みやすさ」です。
ネットにある多くの医療情報は、専門用語が多く、文章が難解で、患者さんが理解しづらいレベルだったのです。
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Flesch-Kincaid 読解度指数:45.8(難しめ)
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学年換算:10~13学年(高校後半~大学)
アメリカの医療業界では、小学校6年生(日本の中1相当)でも理解できる文章が推奨されています。
つまり、今回の結果は「患者さんにとって、ネットの情報はやや難しすぎる」ということになります。
💡 この研究からのメッセージ
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ネットで得た情報が正確とは限らない
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仮に正確でも、理解しやすい形では提供されていない
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不安なときは、専門医と直接相談することが大切
🩺 医師としてのアドバイス
「間質性膀胱炎/膀胱痛症候群」は慢性的な痛みを伴い、情報に振り回されやすい病気でもあります。
この研究は、「正しい情報を、わかりやすく届けること」がいかに大切かを教えてくれます。
私たち医療者も、なるべくわかりやすい言葉で説明するよう努めています。
もしネットで見た内容に不安を感じたら、遠慮せずに質問してください。
📚 原著論文(医療者向け)
Moreland K, et al. An Analysis of the Accuracy, Quality, and Readability of Online Health Information for Interstitial Cystitis/Bladder Pain Syndrome. Urology. 2025. doi: 10.1016/j.urology.2025.07.013










