バードウォッチングで骨盤底筋トレーニングを続けやすく
当院の研究が医学誌「Cureus」に掲載されました
咳やくしゃみ、運動などで尿が漏れる「腹圧性尿失禁」の治療では、骨盤底筋トレーニングが第一選択として推奨されています。しかし、単調な運動を毎日続けることは簡単ではなく、途中でやめてしまう方も少なくありません。
そこで当院では、散歩中のバードウォッチングと骨盤底筋トレーニングを組み合わせる方法を検討しました。
「鳥を見つけたら、骨盤底筋トレーニング」
方法はとてもシンプルです。
散歩中に鳥を見つけたとき、それを合図として骨盤底筋トレーニングを行います。スマートフォンや専用機器は必要ありません。鳥を探す楽しみを取り入れることで、トレーニングを「義務」ではなく、日常生活の中の習慣にすることを目指しました。
12週間後もトレーニングを続けやすい結果に
腹圧性尿失禁の女性を対象に、通常の骨盤底筋トレーニングを行ったグループと、バードウォッチングを組み合わせたグループを比較しました。背景条件をそろえた48人を分析した結果、12週間後のトレーニング継続率は次のようになりました。
通常の骨盤底筋トレーニング:48.8%
バードウォッチングを組み合わせた方法:68.3%
バードウォッチングを取り入れたグループでは、トレーニングを続けられた割合が有意に高くなりました。
また、1日あたりの尿漏れ回数も、通常グループの1.38回に対し、バードウォッチンググループでは0.58回と少ない結果でした。
一方、1時間パッドテスト、患者さん自身が感じる改善度、骨盤底筋の筋力については、両グループの間に明確な差は認められませんでした。
大切なのは「無理なく続けること」
バードウォッチングそのものが骨盤底筋を強くするわけではありません。鳥を見つけるという自然な出来事をトレーニングの合図にすることで、運動を思い出しやすくし、楽しく続けやすくすることが、この方法の特徴です。
特別な機器や費用が必要なく、散歩の習慣に取り入れられるため、デジタル機器が苦手な方にも実践しやすい方法と考えられます。
ただし、今回の研究は一つの医療機関で行った小規模な観察研究であり、参加者が希望する方法を選択しています。すべての方に同じ効果が得られるとは限らないため、今後はより多くの方を対象とした研究が必要です。
骨盤底筋トレーニングは、正しい筋肉を正しい方法で動かすことが重要です。当院では、診察や超音波検査を用いて骨盤底筋の動きを確認しながら、一人ひとりに合った方法をご案内しています。
掲載論文
Okui N, Okui M. Birdwatching as a Nature-Based Behavioral Strategy to Improve Adherence to Pelvic Floor Muscle Training in Women With Stress Urinary Incontinence: A Prospective Comparative Observational Study. Cureus. 2026;18(7):e112975.
DOI: 10.7759/cureus.112975










