移植による骨盤臓器脱治療

移植を利用した尿失禁手術や骨盤臓器脱手術は、いまから20年前にすでに開発されていました。その後、メッシュ手術が全体の95%以上のシェアを占めたために研究が遅れた分野です。よこすか女性泌尿器科では、この技術を維持しておりますので、メッシュを使いたくない治療困難な人に応用しております。

正常の女性の骨盤の中の状態と、尿失禁で多い状況を比較します。注目してほしいのは、3つあります

① 尿道と膀胱のつけねのところ。膀胱頸部といいますが、正常のときは筋肉が分厚いので、頬っぺたのように盛り上がっています。尿失禁の人は、落ちています

② 尿道のおちこみ。咳をすると、尿道を恥骨から固定する筋肉がないので、尿道が落ち込みます。

③ 尿道そのものの筋肉が、血流障害により細くなっていきます

この3つがそろうと、治療がむずかしいです

出産直後の若い女性でしたら、尿道がおちこんでいるだけで、筋肉が十分あるので、人工テープの持ち上げ手術が効果的です。しかし、閉経時期になると、筋肉が萎縮していきます。80歳になると、筋肉がほとんどありません。3つの条件がそろって、かつ80歳という条件だと、人工テープを挿入するのは、感染のリスク・定着しない可能性など、たいへんよくありません。

そこで、ハーバード大学ブリガム&ウイメンズ病院で2000年ごろに開発されたまま、その後あまり研究がすすんでいないのが、移植です。現在、人工メッシュによるトラブルが世界的に問題になっていますので、再び注目されています。ただし、この技術は、知っているドクターが少ないです。

多くは、下腹部の脂肪がいっぱいあるところから、真皮や脂肪や筋膜を取り出します。

このように、3つの問題点が解決するように移植をします。このとき、移植片に糸をかけて吊り上げをします。重要なのは、この移植は、血流が維持できるようにすることです。

とてもよい技術なのですが、まれに、移植片への血流が予想よりもすくないときもあります。そのような場合は、手術がおわって半年たったところで、レーザー照射(非蒸散性エルビウム・ヤグ・レーザー)が効果的です。

〔まんがでわかる女性泌尿器科) これは子宮を摘出すると、再建手術が血流の関係で困難です。それを移植により改善させることを、わかりやすく説明しました。

【女性泌尿器科】腹圧性尿失禁に対する自家移植スリングと人工メッシュの再発比較

自家移植スリングというのは、当院で推奨している移植のことです。この移植での治療が、人工メッシュの成績と再発率の点で大差ないことがわかりました

 

 

 

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