骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁の治療には、ポリプロピレンメッシュをつかいます。しかし、これがメッシュ露出やびらんをおこすと対処方法がないです。フランスのガイドラインが出たばかりですが、治療法がみつからず、”切除するとよいかもしれない”とか、”患者と話し合うべき”という段階にとどまってます。
当院は、この病気にとりくんできたため、ようやく国際論文をだすところまできました。
左が治療前の組織の像です。一般のひとでもわかるとおもいますが、組織がメッシュで破壊されて、いわばぼろぼろ。これではメッシュを部分的に摘出してもなおるわけありません。
右は、メッシュをある程度切除した後に、レーザー治療をしたもの。細胞がしっかり生えて、メッシュのまわりをとりかこみます。このことで、メッシュは封印されて出血がなくなります。
この治療法の重要なのは、コロンブスの卵みたいなもので、いままで、メッシュトラブルはメッシュを切るという発想しかなかったものを、メッシュのまわりに組織を強制的に増やして封印してしまうというものです。
これには、非蒸散姓エルビウムYAGレーザーが必要です。これは表面に傷をつけずに、中の組織だけに刺激をあたえて細胞をふやすことが可能です。
Okui N, Kouno Y, Nakano K, et al. (February 28, 2024) Evaluating Non-ablative Erbium Yttrium Aluminium Garnet (YAG) Laser Treatment for Polypropylene Mesh-Induced Vaginal Erosion: A Case Series. Cureus 16(2): e55128. doi:10.7759/cureus.55128