カフェインとテアニン


(1) 若者に流行しているカフェイン炭酸飲料のリスク

はやっているので、どんなものなのだろうと、のんでみたレッドブル。栄養ドリンクのような味です。「レッドブル、翼を授ける」でお馴染みのレッドブルエナジードリンクが、日本では栄養ドリンクではなく"炭酸飲料"という扱いで販売されています。薬品などの規制から各国の法規制に合わせた分量・成分で販売されています。日本で販売されるレッドブル1本には、主にアミノ酸のひとつである"アルギニン"や、コーヒー1杯分のカフェイン(80ml)、ビタミンB群が含まれており、一般的な栄養ドリンクにある「タウリン」は規制上含まれていません。レッドブルを飲んでスッキリするのは、あくまでカフェインによる効果です。

海外でも問題になっています。日本では販売されていない「レッドブル・コーラ」は、ドイツ連邦リスク評価研究所によると、コカインの量は1リットルあたり0.4マイクログラム検出されています。このことに関しては、「健康には害のない量」とレッドブル社は主張。

さて、カフェインについて考えて見ましょう

カフェインは胃液の分泌を増加させます。適度であれば食欲増進しますが、過剰になると消化性潰瘍のリスクを高めることにもなります。
そのほか、眠気や疲労感をとり、思考力や注意力を増す作用、脳血管を収縮させる作用もあるので、片頭痛がやわらぐ作用があります。この効果は、あくまでその場しのぎではありますが、現代の大変な仕事をしながら、頭痛とつきあうには1つの手段といえます。もちろん、頭痛の場合は、その根本をさがして、筋肉の緊張をとるように温めたりストレッチしたりするのが長い目でみたら正しいのです。そのほか、市販の鎮痛薬、風邪薬、乗り物酔い薬などにもカフェインが配合されています。


しかし毎日大量にカフェインをとり続けていると、カフェインがきれたときに血管が拡張して頭痛が起こるようになります。そしてまたカフェインを摂取するとその頭痛は治まるけれど、またきれると頭痛が起こるといった、中毒になってしまうのです。(カフェイン離脱頭痛・・・2週間を超えて、1日200mg以上の カフェイン摂取。最後の摂取から24時間以内に頭痛出現。 100mg のカフェインにより、1時間以内に軽快する)

では、カフェインの量をみてみましょう
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飲料100ml当りに含まれるカフェイン量の目安

飲料     カフェイン量(100ml当り) 備考
レギュラーコーヒー浸出液 約 60mg コーヒー豆の粉末10gを熱湯150mlで浸出
インスタントコーヒー 約 60mg インスタントコーヒー粉末2gを熱湯140mlに溶かす
玉露 約 160mg 茶葉10gに60℃の湯60mlを加え2.5分浸出
煎茶 約 20mg 茶葉10gに90℃の湯430mlを加え1分浸出
紅茶 約 30mg 茶葉5gに熱湯360mlを加え1.5〜4分浸出
ウーロン茶 約 20mg 茶葉15gに90℃の湯650mlを加え0.5分浸出
レッドブル 80mg

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(2)米国医師会とエナジードリンク

米国医師会は、6月18日のニュースで、18歳以下に対するエナジードリンクの広告禁止策を支持するという声明を出しました。これは、先週末からシカゴで開催されていた米国医師会の代議員会で、投票により決議されたものです。いまごろになりましたが、とりあげてみます。

<ニュースの要点>
ニュース記事は、米国医師会委員の医師による声明を次のように伝えています。「エナジードリンクは多量かつ過剰なカフェインを含有しており、心臓の問題など若年層の健康問題につながる恐れがあり、企業がこれら製品をティーンエイジャーに販売することを禁じるのは、我々がアメリカの子どもを守るためにとることのできる常識的な行動である。」

米国ビバレッジ協会の広報担当による声明を、ニュースは次のように伝えています。「エナジードリンクのほとんどは、同じ量のコーヒー店のコーヒーの半分ほどのカフェインしか含有していない。また、エナジードリンクの有力メーカーは、自発的に、カフェインの総量(あらゆる原料に含まれる)をパッケージに表示し、この製品は子どもや妊産婦、カフェインに敏感な人の飲用を意図(または推奨)していないことを表示している。」

今回の会議で米国医師会は、肥満を疾病として認めることを決議し、その医学的治療に前向きに取り組むという決議をしています。かねてから指摘されている飲料やスナック菓子と肥満との関係についても、ますます議論が沸騰することでしょう。子どもも大人も大好きな飲料や食品の世界にも、いよいよ「健康」という視点からの見直しが、迫られているようです。





(3)お茶のカフェインをおさえるテアニン

前回、カフェインを主体にしたエナジードリンクについてとりあげました。その感想で、『玉露にレッドブルの2倍のカフェインが入っているということですよね。』と感じた人もいます。当然とはおもいます。お茶にはかなり高いカフェインが入っているからですね

でも、お茶の場合は、カフェインの作用を和らげる物質が入っています。それが、テアニン(L-Theanine)です。アミノ酸の一種でグルタミン酸の誘導体です。グルタミン酸は、みなさんご存じの”うまみ成分”です。特に上級なお茶に多く含まれている。また、テアニンは茶の等級に関わらず、全遊離アミノ酸の約半量を占めているのです。テアニンはお茶やツバキ、サザンカには存在しますが、それ以外の植物には存在しません。初期の若い芽に多く含まれ、成熟した芽では極端に減ります。つまり、若さのみなものとなのです。

まず、お茶の成分を挙げてみましょう
カテキン(お茶の渋み成分)
カフェイン(お茶の苦み成分)
テアニン(お茶の旨み成分)
ビタミン類
サポニン
フッ素
γ−アミノ酪酸(通称:GABA)
ミネラル(カリウム、カルシウム、リン、マンガンなど)
クロロフィル

お茶の浸出液のカフェイン濃度は約0.01〜0.02%で、お茶を1杯飲むと15〜30mgのカフェインを摂ることになります。この量のカフェインですと、かなり強い興奮作用を示すはずなのですが、実際には穏やかな興奮作用でとどまります。これは、テアニンにカフェイン興奮抑制作用があるためで、劇的な作用を適度な作用に変えるあたりは、お茶がもつ天然・自然は人間の知恵を超えていますね!

テアニンの効果なのですが、
(1)テアニンが血圧上昇を抑制することや脳の神経細胞を保護する働きをもちます
(2)人間の脳波を測定すると、テアニンを摂取することにより、リラックスの指標であるα波の発生が30-40分後に確認されます
(3)睡眠に関しては、テアニン摂取により睡眠の質の改善があります。中途覚醒の減少が認められたほか、起床時の爽快感、熟眠感、疲労回復感の改善です
(4)月経前症候群(PMS)に関しては、PMS時のイライラ、憂鬱、集中力の低下等の精神的症状を改善します

そして、テアニンは、血液脳関門を通過できるのが重要です。このポイントは医者には大きいのです。血液脳関門とは、その名のとおり、脳せき髄液と血液をつなぐ関所です。簡単に物質が通過してはこまるところです。ここにお茶の成分が入ることができます。

テアニンに対する各国の考え
アメリカ:ラットの研究を通じて、非常に高濃度テアニンを繰り返し使用しても心身ともに無害であることが明らかにされていることから、アメリカ食品医薬品局 (FDA)は、食品添加物としてテアニンをGRAS (一般に安全と認められる)に分類しています
ドイツ:ドイツ連邦リスク評価研究所 (BfR) は単離されたテアニンを飲料に添加することに反対の立場

気になるスポーツとの関係
緑茶には、カフェインの作用(脂肪をエネルギー源にする)によって、運動能力(持久力)の向上に効果があると考えられています。一方、運動時には老廃物であるアンモニアが高まることから、アンモニアの代謝を促進するアルギニン、と、リラックス作用のあるテアニンを組み合わせることによって、効率的に疲労を軽減すると推測されています。
伊藤園によると、これらの成分の組み合わせは、カフェイン:テアニン:アルギニンの比率は、1:2:2が好ましいとしています。





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