奥井真知子1
奥井伸雄12
常盤紫野2
永榮美香2 斎藤恵介2 堀江重郎2
1 医療法人ウロギネ・ネット よこすか女性泌尿器科クリニ
ック
2. 帝京大学泌尿器科教室
演題名:
Same Day Surgery による過活動膀胱合併骨盤臓器脱手術の最大5年間1300例余の経過観察:AP, PR, TVM, UpHoldでの、OABSSと超音波上メシュ変化と膣メッシュ露出等の観点から(一部OsiriX-iPadによる3次元立体画像による術前術後観察含む)
一般抄録本文:
【目的】過活動膀胱(OAB)合併骨盤臓器脱(POP)を有する患者(おもに高齢者)に対する術式による違いを検討する
【方法と結果】2003年から2011年にて手術をうけたPOP患者1530人(平均年齢76.9歳)を検討。手術前後のOABSSの変化について後ろ向き調査。術式は、膣形成術(AP),パラバジャイナルリペアー(PR),GYNECARE PROLIFTタイプのTVM−A手術、腹腔鏡縫合器類似品作成してPR技術にメッシュを合わせた手技であるUphold Vaginal Support Systemタイプの手術。(米国発売前にメッシュの形態のコンセプトを準備して手術を実施。米国発売後に確認。2010年からは、手術中OsiriX画像をiPAD供覧しながら進めた)。人工メッシュは、ガイネケアーガイネメッシュを用い、術中・術後にて腹部超音波によるメッシュ挿入前後の血腫のないことを確認しながら安全に手術をすすめた。運動療法は、朝・夕30分バランスボール運動を採用し、外来30分間の指導を数年継続。
一部症例では、膀胱造影CTにて術前術後のDICOM画像からMacintosh対応フリーソフトOsiriXにて3Dオーサリングを行い3次元立体画像での膀胱の正常化を確認した。
【結果と考察】1と2は2003年から、3は2007年から、4は2008年から実施できた。術式の選択は患者の希望に合わせた。
短期的な視点からの結果と考察は、次のようである。どの手術においても、術前画像情報をiPadに導入し確認しながら行うことは、手術時間にも影響なく、安全に実施するうえでよい方法であった。術中・術後の超音波でのメッシュ確認は、血腫のリスクを大幅に減らす事ができ、手術時間もわずかに増えるのみであった。OsiriXによる3D画像は、膀胱瘤の改善が顕著にわかる利点が認められたが、膀胱造影CTをとる必要から高齢者には2回のCTの経済的負担がふえる欠点があった。このため、現段階では学術的必要性のみの評価として有効と考えられた。OsiriXがフリーソフトなので、画像編集のための実費負担が生じない利点があった。日帰り手術で行い、術後2回の通院で発熱がおきていない状態で、日帰り点数加算や全身麻酔管理加算などを算定しない患者が95%を超えており、1割負担患者において患者支払い3万円前後で実施できるため、配偶者年金のみですごす高齢者に負担をかける事なく行う事ができた。
長期的な視点からの結果と考察としては、次のようである。OABSS12点以上は450人存在。特に12点以上では各手術方法もOABSSは、術後3か月までに改善。夜間頻尿の項目のみ改善がなく、運動療法が必要であった。1は、5年間に再発例18%あり、OABSS上昇(平均3点)。2術直後の疼痛訴えがあり。3は長期にもOAB出現せず。4は長期成績はないが、メッシュ露出なく、性交渉など利点が多い。また、多くの患者が術後から旅行などを生活にとりいれることができるようになり、生活の質を向上させている。長期にわたる生活指導の重要性はしめされた。